未病と漢方

 漢方の世界,つまり東洋医学において“未病”という言葉がよく使われます。病気になりつつある段階ではっきりとした異常がない状態を言います。対する言葉は“既病”です。もっと分かりやすく言うと,不定愁訴など自覚症状があるものの検査では異常が見られない,またその逆で,検査で異常が見つかっても自覚症状がない状態のことです。後者の方は,自覚症状が出るようになると手遅れになりかねず非常に危険です。また,自覚症状と検査結果の所見が一致すると,確実に病気だということになります。ですから,漢方でいう“未病”の状態を改善することは,予防医学上重要なことで,健康に過ごせる年齢,つまり健康寿命を延ばすために欠かせないことと言えます。

未病をチェックする

 普通,自分が病気かどうかをチェックするには,健康診断の結果を見たり病院で検査を受けたりしなければいけません。ですが,未病治療,言い換えると予防医学においてはすぐにその必要がある訳ではなく,セルフチェックである程度自分の状態を知ることができます。ストレスなどを原因とする病気の症状が出やすいのは消化器系です。ですから,食欲や便通,便の状態などをチェックすることで,病気の前兆を知ることができます。“物言わぬ臓器”である肝臓がダメージを受けていないかどうかは,肌の色や排尿の変化を見れば分かります。毎日お酒を飲んで肝臓に負担をかけているような人は注意が必要です。異常に気が付けば放置せずに早い段階で検査を受けて,必要であれば適切な治療を行なうようにしましょう。

未病を治す

 自分で異常を感じて病院を受診したとしても,「大したことはないので取り合えず症状を抑える薬を」となることが多いでしょう。本当に大したことがなければそれで良いのですが,それと同時に,自分にはそのような弱いところがあることを知ることができましたので,それから後の注意が必要です。適切な食事,適度な運動,十分な睡眠,の3つに心掛けて,健康に過ごせるようにしましょう。食事からの栄養は取りにくくなっていますので,栄養補助食品の助けを借りることも必要かも知れません。ストレスを解消することも未病を治すのには欠かせないことです。ストレス解消と言っても,お酒の飲み過ぎや食べ過ぎは要注意です。漢方で言うところの“中庸”,つまり丁度良い状態で少しでも長く過ごせることが大切です。



未病には漢方